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人質交換を託された女
第13章 最後の女
中はライトが点いたままだった。左側に大きな鏡があり、洗面台スペースがあった。右側には3つ個室が設けられていた。扉は全て開いていた。ごくごく普通の御手洗だった。

男は靴のまま入ったが、私は下にサンダルがあるのを見つけ、それを使うことにした。

私はまだ中に男が居ることに違和感があり、大きく深呼吸をした。だが、すぐにこの縛られた状態では、何もできないことも認識した。

だから、「解いてください…」と男にお願いした。

男は私に近付き、背後からそっとお腹に手を伸ばしてくる。胸の鼓動が大きくなっていく。

「戸北由依(ときたゆい)だったかな…?」
男の口から私の名前が呼ばれたことに驚いていた。
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