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人質交換を託された女
第15章 命脈
真っ暗闇の閉ざされた空間は、息が詰まる重苦しい感じがした。

聞こえるのは私の「ふぅふぅ…」という呼吸音と、縄が発する「ギシギシ…」という心と肉体の葛藤にも似た音だった。彼が注意深く、念入りに、密接に通わせた縄が、私の肉体を掌握していた。警察官という立場ではなく、銀行員という身分で人質となるという、彼の和解案を大人しく受け入れた。自身の自由を手放すことが、解決の糸口になればと思い、彼に身を委ねた。

縄音が本来の役目を果たせないジレンマを、迷いを、執念を振り払うようだった。体を回そうとすれば、すぐに左右どちらかの肩がロッカーの仕切り板に触れ、正面の扉を蹴ることもできず、そのまま背後の板に身を委ねることしかできなかった。上の開けた空間を求め、首を動かせば、密閉された口の余裕のなさに、首を左右に揺することしかできなかった。縄は、ただ自ら自由を手放した私の肉体を、捕らえて離そうとしなかった。
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