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人質交換を託された女
第15章 命脈
同時に彼のどこにも行かせたくない、危ない橋を渡らせたくない、世間の目に触れさせたくない、という気持ちが肉体にまとう縄から感じられた。この縄は、どんな形でも粘り強く寄り添い、けして切れない。温もりのある肉体が、彼のきめ細やかな心配りに引き締められる。

この縄は私がここに来てからずっと、肉体を縛り付けていた。縛られることが当たり前になってきたことで、それは馴染み、身近に感じられるようになっていた。

縄の束縛に、「はぐぅ…」と吐息を漏らし、深く心までも浸透していく。心と肉体を結び付ける、固い結束が頭から離れない。両膝が何度も左右に揺れた。板を何度もノックしているようだった。理性のネジが緩み、そこからの体の奥に閉じ込められた愛着の泉が、湧き出てきていた。

「ハァ…ハァ…」と荒い息遣いを止められなかった。
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