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人質交換を託された女
第15章 命脈
事件当日の夜、私は銀行から無事救出され、病院での診察を受けることになった。その際、他の女性行員との接触はなかった。もちろん同じ病院に運ばれてくるのは、救急車両内での電話通話から分かっていた。

私の体は心拍数が通常時と比べ、異常に高いことを指摘されたくらいで、体の外傷、骨折等の異常はなかった。だが男性医師と女性看護師に、事件現場で性交があったことは伝えた。医師は顔色が変わり、看護師が私を別室に移動させ、そこでアフターピル(緊急避妊薬)の説明を受け、手渡された。

翌日はアフターピルの副作用による頭痛と吐き気に悩まされ、その日の聞き取り調査は延期された。医師へ告げた『性交の事実』に、組織は事態の重さを認識し、2名の女性を自宅に派遣させた。

「ゆっくりでいいの…何が起きたのか…話してほしいの…」
向かいのソファに座るカウンセラーが、まず話を切り出した。
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