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人質交換を託された女
第16章 侵入者
私と捜査員の女性は、音がした頭上を見上げた。飛沫上になった小さい粒子が、ライトに当たり、2人に降り注いでくる。ヘアスプレーに似た匂いも漂い始める。

次の瞬間、男は玄関の扉を勢いよく閉める。その際に飛沫上の粒子が、急激な空気の流れで、部屋の中に広がっていく。

ちょうどその時、カウンセラーの女性も、「忘れ物ですか…」と捜査員のジャケットを手に持ち、近付いてきた。

捜査員と私は意識が朦朧(もうろう)とし、互いの体を支え合うように、膝から玄関の床に崩れ落ちた。

カウンセラーの女性もすぐに足元がふらつき、まっすぐ歩けなかった。体を壁にぶつけ、床に座り込み、体を壁に預けてしまう。
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