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人質交換を託された女
第1章 大役
「いいか、無理をするな」
急遽立ち上がった人質強盗事件の対策本部から言い渡された命令、それは人質交換という役目だった。所轄の女性警察官を捨て駒にする。犠牲を想定しなければならない。つまり解決の糸口が見えない証でもあった。唾を飲みこみ、集中し、耳の中に差し込まれた小型イヤホンから聴こえる声に小声で「分かりました」と頷く。
捜査本部からは現場の状況を把握するために、いくつかの装備が渡された。イヤホンは肩まで伸びる髪に隠れて見えないが、収音マイクにもなっており、現場の声を捜査本部に伝える。ピンキーリングは私が犯人グループに連行された際のGPSトラッキング発信機になっていた。
急遽立ち上がった人質強盗事件の対策本部から言い渡された命令、それは人質交換という役目だった。所轄の女性警察官を捨て駒にする。犠牲を想定しなければならない。つまり解決の糸口が見えない証でもあった。唾を飲みこみ、集中し、耳の中に差し込まれた小型イヤホンから聴こえる声に小声で「分かりました」と頷く。
捜査本部からは現場の状況を把握するために、いくつかの装備が渡された。イヤホンは肩まで伸びる髪に隠れて見えないが、収音マイクにもなっており、現場の声を捜査本部に伝える。ピンキーリングは私が犯人グループに連行された際のGPSトラッキング発信機になっていた。