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人質交換を託された女
第16章 侵入者
そのイヤホンに見覚えがあった。私が銀行に侵入する際にも、そのイヤホンを身に着けていた。それは現場の音声を伝えるマイクであり、別の場所からの指示を聞きとれるイヤホンでもあった。
「2人で仲良く通じ合っていた訳か…」
そう言うと、田口さんは2つのイヤホンを、テーブルに置いてあったティーカップの中に入れた。テーブルには2人のために淹れた紅茶が置かれていた。きっと冷めていたに違いない。だが電子機器が水に浸されれば、機能不全になるのは明らかだった。
「彼女に罪悪感を植え付けて…自責の念で彼女を潰す気か…それで事件をうやむやにする気だろう…」
この言葉にカウンセラーの女性が反応した。左右の二の腕に挟まれた空間で、首を小さく横に振っていた。それでも伝えきれない想いから、彼女は肩を左右に振っていた。
「2人で仲良く通じ合っていた訳か…」
そう言うと、田口さんは2つのイヤホンを、テーブルに置いてあったティーカップの中に入れた。テーブルには2人のために淹れた紅茶が置かれていた。きっと冷めていたに違いない。だが電子機器が水に浸されれば、機能不全になるのは明らかだった。
「彼女に罪悪感を植え付けて…自責の念で彼女を潰す気か…それで事件をうやむやにする気だろう…」
この言葉にカウンセラーの女性が反応した。左右の二の腕に挟まれた空間で、首を小さく横に振っていた。それでも伝えきれない想いから、彼女は肩を左右に振っていた。