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人質交換を託された女
第4章 交渉
すぐにハンカチの詰め物が、前から無理やり入れられ、「んんぐぅ…」と悶えた。男の手のひらがすっぽりと口を覆った。首が後ろに反らされ、背もたれ上部に乗ってしまう。詰め物を外に出すこともできなかった。最後の抵抗が失敗に終わった私には、もう反抗する底力など残されていなかった。逆らう素振りも見せず、目を開け、迫ってくるテープを見つめることしかできなかった。男の手のひらが口から離れた途端、ほぼ同時にテープが口を覆った。口に幾重にも重ねられ施される封印。この男たちと交渉などできず、彼らの要求に私は屈するしかないのだと。