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人質交換を託された女
第5章 積み上げれた賭け金
「ァンッ…」
私の体がきつい拘束によじれ、吐息が漏れてしまう。
その動きに合わせ、ロープが追いかけて、私を捕まえてくる。滑らかに体に這い、ギュッと締めあげて、体の自由な動きをこれでもかと封じてくる。その容赦ない、望まない拘束に、私の腰はゆらゆらと動き始め、目を開けていられなくなる。
電話口では本部長はのらりくらりで、この場を乗り切ろうとする意図が感じられた。私の体には一切の妥協を許さない、束縛という価値観を押し付けられ、人質としての証となる『約束手形』が発行され、期限内に約束が果たさなければ、自由がなかった。期限の延長など、全く認められる状況でなかった。
あれほど高く積み上がっていたロープのチップは、表交渉の結論先延ばし策の進展を表すように、可能な限り引き延ばされ、犯人の意志の強さに比例して私の肉体に巻かれていく。人質解放の確率が限りなく0に近付いた。捜査本部の見通しの甘さは、掛け金の『上乗せ』という形で、私の緊縛される体に賭けられた。その縛りは体への圧迫感となり、支払う代償の大きさと、悪夢のシナリオに向かう確率の高さに、苦しくて息が詰まってくる。
リーダーの男は断固とした姿勢で、本部からの要求や提案を全て払いのけていく。交渉は両者の思いがいつまでも対立し、平行線を辿っていた。
私の体がきつい拘束によじれ、吐息が漏れてしまう。
その動きに合わせ、ロープが追いかけて、私を捕まえてくる。滑らかに体に這い、ギュッと締めあげて、体の自由な動きをこれでもかと封じてくる。その容赦ない、望まない拘束に、私の腰はゆらゆらと動き始め、目を開けていられなくなる。
電話口では本部長はのらりくらりで、この場を乗り切ろうとする意図が感じられた。私の体には一切の妥協を許さない、束縛という価値観を押し付けられ、人質としての証となる『約束手形』が発行され、期限内に約束が果たさなければ、自由がなかった。期限の延長など、全く認められる状況でなかった。
あれほど高く積み上がっていたロープのチップは、表交渉の結論先延ばし策の進展を表すように、可能な限り引き延ばされ、犯人の意志の強さに比例して私の肉体に巻かれていく。人質解放の確率が限りなく0に近付いた。捜査本部の見通しの甘さは、掛け金の『上乗せ』という形で、私の緊縛される体に賭けられた。その縛りは体への圧迫感となり、支払う代償の大きさと、悪夢のシナリオに向かう確率の高さに、苦しくて息が詰まってくる。
リーダーの男は断固とした姿勢で、本部からの要求や提案を全て払いのけていく。交渉は両者の思いがいつまでも対立し、平行線を辿っていた。