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人質交換を託された女
第1章 大役
拳銃を持っている男が私の前に移動する。上座の机に寄り掛かり、銃口を私に向け続ける。
「人質はどこに…」と私は両手を上げたまま、上座にいる男に声をかける。おそらくこの襲撃のリーダーだと思った。
「人質がどうしたんだ!」とイヤホンから捜査本部の音声が聞こえる。
オフィスチェアが私の背後に近付いてきた。
「まずは座れ…要件はその後に伺おう…」
上座の男が私に指示を出す。
後ろを振り返る。背後の男が真っ黒の背もたれをまっすぐにし、私の方に向ける。