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人質交換を託された女
第6章 A Lucky Winner
その後は佐伯さんが行員を指名し、補佐役の男がロープを解いていた。だが行員の足首と太もも、背もたれとの拘束を解くだけで、女性の手首は後ろに縛られたまま、金庫室を後にしていた。だから佐伯さんを介助役にしたのだと理解した。そして助手役の男が解いたばかりのロープを手に持ち、行員の後ろを歩いた。

2人の男がすれ違う際、リーダーの男が指示を出す。
「人質を分散させろ…向こうは人質が全員この金庫室にいると思いこんでいるはずだ…」

男が言う『向こう』とは、きっと捜査本部のことだろう。補佐役の男がロープを持っていくという事は、行員がお手洗を済ませた後…そのままロープで…と考えるだけ胸が苦しくなり、悔しさで体をうつ伏せにして、額を床に預けてしまう。
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