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人質交換を託された女
第6章 A Lucky Winner
補佐役の男が戻ってくれば、さらに目元から額に、スカーフのソフトな感触に覆われる。視覚を奪われた体は感覚が徐々に研ぎ澄まされ、全身に張り巡らされた神経細胞が細かなロープの動き、締めなども感知するようになり、その度に私は「ふぅ…」と息を漏らしていく。この時に目隠しのスカーフが、佐伯さんによって整えられた後ろ髪に、わざと結わえられていることに気付いた。
額までスカーフに覆われ、続いて柱のような鼻柱が覆われ、その流れで耳まで塞がれてしまう。それもこれも後ろ髪にしっかりと巻き付き、結わえられていた。これではスカーフが緩むことなく、私の目や耳を覆うことになってしまう。自身の結わえられた髪までも、自由を奪われる起点になってしまったと実感する。その事実に、不安が煽られるように肉体がどんどん熱くなってくる。周りが見えず、音もガサガサというスカーフが擦れる音にかき消され、僅かしか聞こえない。自身の世界が狭くなる閉塞的な感覚に、出口を求めて体を動かし続けてしまう。
額までスカーフに覆われ、続いて柱のような鼻柱が覆われ、その流れで耳まで塞がれてしまう。それもこれも後ろ髪にしっかりと巻き付き、結わえられていた。これではスカーフが緩むことなく、私の目や耳を覆うことになってしまう。自身の結わえられた髪までも、自由を奪われる起点になってしまったと実感する。その事実に、不安が煽られるように肉体がどんどん熱くなってくる。周りが見えず、音もガサガサというスカーフが擦れる音にかき消され、僅かしか聞こえない。自身の世界が狭くなる閉塞的な感覚に、出口を求めて体を動かし続けてしまう。