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人質交換を託された女
第7章 敗北への突破口
男に体を引き寄せられ、上体が男の体に触れた。女性の香りに麻痺していた嗅覚に、鋭い香りが鼻につく。その香りに、まさか…という物が頭に浮かび、息を止め、体の動きも止めてしまう。
すぐに硬く、温かい物が頬に当たる。その匂いと感触に、目の前の物が何かを認識し、顔を背けるという拒否反応が出る。だが男の手が口に伸び、粘着テープがゆるゆると外されてしまう。口内に詰められ、丸められた布も抜き取られていく。
ようやく口が解放され、いつもどおりに呼吸できる安堵感は全くなかった。背中に這うロープを男に掴まれ、胸を浮かされてしまう。
「い…いや…」
私にとっては宙に浮かされた感覚だった。
上体がゆっくりと下ろされ、頭が自然と項垂(うなだ)れてしまう。
すぐに硬く、温かい物が頬に当たる。その匂いと感触に、目の前の物が何かを認識し、顔を背けるという拒否反応が出る。だが男の手が口に伸び、粘着テープがゆるゆると外されてしまう。口内に詰められ、丸められた布も抜き取られていく。
ようやく口が解放され、いつもどおりに呼吸できる安堵感は全くなかった。背中に這うロープを男に掴まれ、胸を浮かされてしまう。
「い…いや…」
私にとっては宙に浮かされた感覚だった。
上体がゆっくりと下ろされ、頭が自然と項垂(うなだ)れてしまう。