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人質交換を託された女
第7章 敗北への突破口
口を閉じようとすれば、口元に膨れ上がった男の塊(かたまり)を感じ取ってしまう。芯は硬直していた。毛を蓄え、皮膚に包まれた、欲情むき出しの生き物のようだった。表面の血管が太くなり、そこが波打ち、男のエネルギーがここに集約していた。口の中では不快を伴う苦い味が広がる。男を根元深くまで丸吞みして、退けたい思いも苦しさに負け、熱い吐息が漏れる。男柱が隠れるほど、それを咥える女の息遣いは、間違いなく男に支配欲という息吹を与える。柱はさらに硬く、太く、破滅力を増す武器となっていく。心の中まで喪失感で占められていく。

そんな時だった。背後で別の男が私の足首を握っていた。その優しい触り方に、首を少し反らして、体が反射的に反応してしまう。体への触れ方で、この場所に来て、身柄を拘束された際、私の足を縛った人だと即座に理解した。足首と甲のロープを解こうとしているようだった。
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