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人質交換を託された女
第8章 佐伯の決断
彼女は目を閉じ、大きく深呼吸をしていた。

「同じようなことを…あそこにいる…警察の人にもしたんだ…」
男の言葉に佐伯さんの弱々しい、力のない視線を感じた。

私は『アメとムチ』だと、とっさに感じた。私を2度も絶頂に導いた男芯を佐伯さんの前に晒し、彼女の性的欲求を刺激し、甘い汁を吸わせた。そして、その後は彼女に譲歩を迫るつもりだと思った。

「俺たちがここに来た時…君たち行員に選択肢はなかった…だが今はあるぞ…嫌ならここから出してやってもいい…」

その言葉に彼女の目が泳いだ。後ろを振り向き、「本当ですか…?」と男に確認を求めた。

「もちろんだ…忘れたか…君は強運の持ち主なんだ…」

佐伯さんの視線がこちらを向いた。明らかに目に迷いが現れていた。
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