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疼く…
第3章 第3幕 麻以の名のもとに
『麻以』


『は…い』


『僕が性急だったね、今日はいっぱい話をしよう。麻以の、いや、君の気持ちが落ち着き、僕への疑念が晴れるようにね』


別荘は桧葉の匂いがした。心が落ち着く匂いだ。地上2階、地下もあるらしい。外はバーベキューが楽しめたり ブランコなどの遊具もある。露天風呂は2カ所ほどあるということだ。

彼は ゆったりとソファーに座り、隣に私を誘った。肩を抱き、髪の毛から足の指一本一本まで悦楽を感じられると教えてくれた。俗にいう、エッチは実は素敵なことで恥ずかしいことでは決してないと。本当のエクスタシーを知らないほうが むしろ 悲しいことだと。


『一緒に風呂に入ろう!』

『無理です。』

『そうか、残念だなあ。じゃあ、露天風呂に案内するからゆっくり浸かっておいで。それから晩めしにしよう。さあ、こっちだよ。』

『あ、着替え持って来てないようだから、用意しておこう、さ、バスローブだよ』


夕暮れだった。少し肌寒い風が時折髪をなびかせる。気持ちのいいお湯だった。

着替えは バスローブしかなかったが 彼はとても紳士的だったので 不安は残るが 信じるしかないと自分に言い聞かせ、それを羽織ってリビングへ向かった。
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