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第1章 開かれた扉

優季さんの言葉と瞳を見て、このSMクラブの魔力に気付いた。

制約を解かれた男性。自らの意思で時間延長し、｢スーツという防護｣と｢体の自由｣を失う女性。そして実現できる心に秘めた妄想…。甘い誘惑のせいで、口に入れたコーヒーの味まで変わってしまった。

｢あなたのような人のために作ったクラブなのよ｣
｢私のような人のため…ですか？｣

優季さんの顔は微笑んでいた。

｢ええ、そうよ。あなたの体を見れば分かるわ。自分に厳しく、我慢して、嫌なことがあれば、それを忘れるために鍛えて…服まで窮屈そうだわ。妄想を奥底にしまい込むのはおしまいにして、1日だけ素直に向き合ってみれば？｣