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愛欲と追憶の日々
第4章 電話
私は、心の中でそう呟いた。
青椒肉絲は私の得意料理でもあったのだ。
「ピーマンて苦手じゃないんだ?」
「俺、ピーマン好きだし…」
「じゃ、青椒肉絲作ってあげるわ…」
「え?マジで?」
「うん、マジで…」
電話の向こうでタカシは嬉しそうに笑っているのを私は感じていた。
今度の土曜日にまた、タカシと一緒に食事が出来て、飲めるのかと思うと嬉しさを隠し切れなかった。
「じゃ、土曜日の夜は必ず行くから…」
タカシは必ず行くとこの時言ったのだ。
私は、嬉しくて仕方がなかった。
「じゃ、土曜日の夜に待ってるわ、必ず来てね…」
「分かった…」
「じゃ、またな…」
「じゃ、またね…」
私はこの時、自分の名前を伝えていない事に気づいた。
「ちょっと、待って…」
「な、なに?」
「私の名前だけど、向井真帆よ…」
「真帆か、分かった…」
そう言うと電話が切れ、ツーツーと言う音が耳に響いていた。
私は、受話器を耳に当て暫く握ったままだった。
それくらいに、嬉しかったのだ。
確かに、タカシは土曜日の夜に来ると電話で言っていた。
それは、間違いはなかった。
ただ、来た時間が問題だったのだ。
タカシはアルコールが入っていない時は正常だった。
だが、アルコールが入るとかなり異常な状態になっていったのだ。