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愛欲と追憶の日々
第6章 直樹
翔と離婚した後、新しくできた彼氏の佐伯直樹とはとある居酒屋で初めて会ったのだ。
その居酒屋は“華”と言った。

その華はとても人気のある相席居酒屋だった。
週末ともなると、激込みで店に入ることもままならない状態だった。

相席居酒屋とは、隣人の人とトークをしながら出逢いを愉しむ居酒屋のことを言う。

合コンの様な人数合わせや店の予約などの煩わしさもなければ、婚活パーティーの様な堅苦しさも無いため、男女には人気がある居酒屋なのだ。

相席居酒屋ともあって、お客同士は相席で座り、和気あいあいと飲むのが華のスタイルだ。
その、相席で一緒になったのが直樹だった。

私は、初めて直樹と会った時、一目ぼれ状態だった。
直樹も同じだったと後から聞いた。

直樹の容姿はそれはとても可愛らしい顔立ちでイケメンだった。
身長も168センチ程の小柄な体系でとても痩せていた。

私たちは直ぐに意気投合した。
直樹もバツイチ独身だったのだ。

「お姉さんは、名前なんて言うの?」

直樹が話しかけてくる。

「私?向井真帆よ、あなたは?」
「俺は、佐伯直樹って言うんだ、よろしくな…」

直樹とは偶然にも携帯電話が同じ機種で同じ色をしたものを持っていた。
これは、ある意味偶然に出会ったのではない、必然で出会ったのだと私は思っていた。

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