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愛欲と追憶の日々
第7章 前夫
翔が部屋に入ってくると、犬のマルが喜んで飛びついてくる。
マルは嬉しくて仕方ないのだ。

「マル、元気だったか?会いたかったんだぞ…」

そう言うと優しくマルの頭を撫でてくれる。
私と翔には子供がいなかったので、犬のマルが子供の代わりをしていたのだ。

そんなマルと翔の様子を見ていると、何故私たちは離婚したのだろうか。
そう思ってしまうのだった。

「さ、翔ちゃん、手洗ってきて…」
「分かったよ…」

そう言うと翔はキッチンのシンクで手を洗ってくれた。
翔も直樹と同じくそんなに大柄な男ではなかった。

背格好も直樹と同じくらいだったのだ。
私は、小柄な男性が好きだと言える。

ただ、タカシだけは違っていた。
タカシの身長は178センチくらいあったのだ。

私の身長はと言えば150センチ足らずの小柄な女だった。
翔や直樹と並んで歩いていても違和感は感じなかった。

だが、タカシが相手だと小柄な私は見上げてしまうのだった。
そんなことからも、翔と直樹とはタカシは違うのだと感じてしまうのだ。

お鍋はリビングのテーブルで食べる事にしていた。
テーブルの上にはすでにお鍋やその他の食器類が置かれていた。

後は、食べるだけになっていた。

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