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生贄の 人妻
第16章  取り残された 夫達
3月の終わり 拓哉は赴任の為 松ヶ崎支店に赴き
引き継ぎを受け 副所長の紺野を紹介され
笑顔を出して紺野が

「 森は 元気か? 」
推古する様に見つめて言って来る

「 はい バリバリお仕事をされてますよ 」
当たり障りなく返すと

「 川田君も 嵌められた ? 」

笑って胡麻化そうと目を合わせて
瞳の奥の光を見て 黙って頷いた

「 聞いていると思うが 此処は7月に閉鎖されて
  中央の営業所一ヶ所に 私達はまた 平社員に
  降格になるそうだ 」

拓哉は 森の陰湿な行いにまた 怒りが湧きあがり
自分の思いを紺野に伝えると

「 大丈夫 此処は暇な所だから 所長は自由に
  動けますよ 私も 森の女を奪ったから 此処に
  飛ばされて 収入も減るなら 東京に戻って
  再就職をしようかと思っている所だから 」
拓哉が紺野を見ると

「 奴とは同期なんだ 25の時かな 奴が彼女を 
  寝取ってくれと俺に頼んでね 最初は冗談かと
  思ったら 奴が言うんだ 自分の女が他の男に
  抱かれた事に 興奮するって それから 小枝子を
  最初は遊び感覚だった ところが 
  私が真剣に成ってしまってね 
  全て小枝子に話したよ そして
  愛してると言ってね 彼女判っていたんだな
  私の処に来てくれて 寝取って 奪ってしまった
  森はそれから仕事一筋で あって言う間に
  出世して 俺が営業課長の時 部長に成ったら
  直ぐに 此処へ移動させられて 小枝子は
  子供と 東京に居るよ 私も単身さ・・・ 」 

自嘲する様に拓哉を見て言ってきた

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