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第1章 5度目のリピーター客

「優季（ゆうき）さん、ご予約様ホテルに入りました」

茶髪の若い男性スタッフが控室のドアを開け、優季に声をかけた。彼女は細いタバコを咥え、白い煙を天井に吐き出していた。そしてスタッフと目を合わせる。

優季はルーティンで「コースと時間は…？」とスタッフに尋ねた。

「Ｍコースで、150分です」
その場にいた他の女性たちが「長っ…！」と驚きの声を上げた。

優季は「ありがとう」とお礼を伝え、男性スタッフから手書きのメモを渡された。

そこには指名予約した客の情報が書かれていた。名前、回数、コースや時間などだった。しかし彼女には必要なかった。名前を聞けば、すぐ顔が浮かび、記憶の引き出しが開けられる。それに今夜会う客はメル友でもあった。当然、今夜来ることも事前に知っていた。

金曜日の夜8時を回っていた。週末を迎える夜、控室には5人の女性が待機していた。ここにはソファが3脚置かれていた。優季は部屋の奥のソファを使っていた。他の4人は残りのソファをシェアして座る。