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第1章 5度目のリピーター客

平均的に90分コースがメインなところ、この客はロングコースの150分を選択した。肉体的負担は少ないが、経験、技術、会話力がある優季だから対応可能なコースだった。

「じゃあ行ってくるね…」
優季はタバコの火を消し、ゆっくりと立ち上がった。

男性スタッフが控室出入口に立ち、黒のスーツケースを用意していた。

「ありがとう…」と感謝の気持ちを口にし、キャリーケースのハンドルを上に伸ばし、そっとハンドルを掴む。

彼女は繁華街の裏に建つマンションから出てきた。手にはキャリーケースのハンドルを持っていた。このマンションの一室が女性の控室だった。男性が先にホテルにチェックインしていた。彼女はそのホテルに向かっていた。

いつもと変わらない、駅に一番近い、アクセスの良いホテル。今夜は最上階の603。あの広い部屋ね。さすがお坊ちゃま、相変わらずの見栄っ張りなのね。