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妄想実現SMクラブFiveHours番外編 (短編)
第4章 M女の炎
彼女はもうダメだ、と感じていた。首の皮一枚と言うが、彼女に残されたのは愛液の湿りしか感じない、一枚のショーツだけだった。生地の乾いた、爽やかな履き心地は、もうどこにもなかった。

互いの鼻が僅かに触れ、2度3度触れ合った。彼女はフッと鼻から息を出し、微笑んだ。そして本当に小さな声で、ここまで近付くことが許され、さらに近付こうとする男性に声をかけた。

「いいよ…」

互いの唇が触れるか触れないかの、ソフトなキスになっていた。それは背徳感を抱えた慎重なキスだった。額が触れ、鼻が擦れ、互いに息を整え、近くにいることを確かめ合う。親密な関係になろうとする『照れ』が、見え隠れしていた。

優季は自身の定めたルールを破ったことにより、制約から解かれていく。彼に甘えたい気持ちが芽生え、首を自然に傾け、彼の大きな唇に舌を這わせていく。彼の口が開き、彼女の舌が吸われていくと、「ハァッ…」と吐息を漏らしていた。

優季は自分がもう若くないことを理解していた。お店のプロフィールカードには28歳と記載されている。本当はそれより年を重ねていた。いくら彼女が細身で童顔だったとしても、これから女性を指名しようとする男性客も、テーブルに並べられる何枚もの顔写真で比較されば、年齢は隠せなかった。
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