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月の裏で会いましょう-revised-
第12章 以舞の足跡
千寿総合病院をでて、そのまま「萌黄の家」に向かった。
以舞は投薬を受けているらしく、ぼんやりとベッドに横たわっていたが、話しをしても大丈夫だと医師に許可を得て、ベッドサイドに座った。
「咲良ちゃん、また来てくれたのね。嬉しい」
以舞のかさついた柔らかな手が、私の手を包んだ。少しの間他愛ない雑談を交わした後、私は道すがら練習した言葉を、慎重に繰り出した。
「余計なおせっかいかもしれないけど、以舞さんが十八歳の時に産んだ子が今どうしているか聞いてきた」
すると以舞は目を見張って上半身を起こした。私に怯えるように、後ろ手をついて体を引き離す。
「大丈夫、以舞さん。個人情報だから細かいことは訊けなかったけど、今その子はどこかで元気に幸せに暮らしているって、二人の人から確認できた」
以舞は投薬を受けているらしく、ぼんやりとベッドに横たわっていたが、話しをしても大丈夫だと医師に許可を得て、ベッドサイドに座った。
「咲良ちゃん、また来てくれたのね。嬉しい」
以舞のかさついた柔らかな手が、私の手を包んだ。少しの間他愛ない雑談を交わした後、私は道すがら練習した言葉を、慎重に繰り出した。
「余計なおせっかいかもしれないけど、以舞さんが十八歳の時に産んだ子が今どうしているか聞いてきた」
すると以舞は目を見張って上半身を起こした。私に怯えるように、後ろ手をついて体を引き離す。
「大丈夫、以舞さん。個人情報だから細かいことは訊けなかったけど、今その子はどこかで元気に幸せに暮らしているって、二人の人から確認できた」