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月の裏で会いましょう-revised-
第14章 別れ
かつて荘司が、私と付き合う許しをもらおうと兄に直談判に訪れたことがあった。そのときは逆に兄が「うちの妹はやめた方がいい」と荘司を説き伏せてしまい、職場の後輩である荘司は、それ以上押し通すことができず、私を諦めたのだった。
「いや、悪かったのは俺だから。あのときは情けない姿を見せて」
「荘司は悪くないよ。彼女の兄が職場の先輩ってのは、やっぱり難しかったんだよ」
「で、彼氏とは、なんで喧嘩したの」
「三十年前に自分の母親を傷つけた加害者を探すって。辛い過去ばかり見てないで、前を向いて欲しくて、説得したんだけど、聞き入れてくれなくて、最後にはどうせお前は他人だ、みたいに言われて、私もひどいこと言っちゃったし、もういいやって思った」
「いや、悪かったのは俺だから。あのときは情けない姿を見せて」
「荘司は悪くないよ。彼女の兄が職場の先輩ってのは、やっぱり難しかったんだよ」
「で、彼氏とは、なんで喧嘩したの」
「三十年前に自分の母親を傷つけた加害者を探すって。辛い過去ばかり見てないで、前を向いて欲しくて、説得したんだけど、聞き入れてくれなくて、最後にはどうせお前は他人だ、みたいに言われて、私もひどいこと言っちゃったし、もういいやって思った」