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月の裏で会いましょう-revised-
第16章 修復
「この間、息子も来たよ。ただ、もう二度とこないだろうな。俺にひどく幻滅した様子だったから」
農作業用の手袋を外し、首にかけたタオルで額の汗をぬぐいながら、木杉は眉をひそめた。
「私から木杉さんに、聞きたいことがあって来ました。今も以舞さんのこと、怒ってますか」
「昔のことだ」
そう言って木杉は背を向けた。
「立ち入ったことですが、以舞さんが若いころの出来事を隠したことに、悪意があったようには思えないんです」