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月の裏で会いましょう-revised-
第17章 真実
午後八時すぎ。サラリーマンなら会社で残業していてもおかしくない時間帯だ。
エンジンをかけ、ファミレスの本社のある勝どきに向かった。私の実家からはそう遠くない場所で、土地勘もあったので迷うことなく近くに出た。
本社のビルが、目の前に迫る。昴はいったいどこにいるだろう。胸のざわめきが収まらない。同時に、やながせあきひろ、という名前が私の記憶の奥底で、小さな光で点滅していた。その名を聞くのが初めてではない。そんな気がした。
本社ビルを見上げて夜道を走りながら、昴に電話を掛けるが、出ない。