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一夜限りでは終わりたくない
第1章 一夜限りの関係
玄関からリビングに向かう廊下の途中に私達の寝室がある。
私は廊下を歩き、ちょうど寝室の前に差し掛かったところで、寝室から何か物音と誰かの声がしたのだ。
私は何の躊躇もなくドアを押し開けた。
するとそこには信じられない状況が目に飛び込んで来たのだ。
全裸の亮が仰向けに寝ているその上に、女が跨って座っている。
亮はその女性の胸を鷲掴みして、女が天を仰ぐようにしながら腰を艶めかしく前後に動かしていた。
二人は夢中で私の存在に気が付いていないようだ。
私は訳も分からず、その場で持っていたハンバーグ弁当と自分の鞄を床に落とした。
“…ドサッ…”
ようやく二人は私に気が付いたようだ。
亮は慌てて起き上がるが、彼女が乗っているため動けないようだ。
驚いたのは女のほうだ。
その女はよく見ると後輩で亮と同期入社の夏美(なつみ)ではないか。
さらに夏美は振り返りながら、不敵な笑みを浮かべたのだ。
「お…お楽しみのところ…邪魔…しちゃったわね」
私は自分がなんでそんな事を言ったのかわからない。
ただ、惨めな態度は見せたくなかったのは事実だ。
私は自分の鞄を手に取ると、急いで玄関に駆け出した。
亮が何か言っていたが聞こえない。
私はそのままマンションを飛び出した。