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一夜限りでは終わりたくない
第1章 一夜限りの関係
時刻を確認すると間もなく8時になろうとしている。
会社は9時始まりなので急げばまだ間に合う。
昨日は出張帰りに家を飛び出したので、幸いスーツを着ている。
「助かった…このままなんとか会社に行ける!」
私はホテルからタクシーで会社に向かった。
会社のエントランスに8時50分ギリギリだが間に合った。
私は急ぎ営業部へと足早に歩き出した。
その時、誰かが私の腕を掴んだのだ。
腕を掴んだのは亮だった。
亮は少し怒った口調で話し出した。
「なんで急に家を飛び出したんだ…どうせ行く当てもなく、どこかのビジネスホテルにでもいたんだろ?昨日の事は、ほんの出来心だからさぁ…それに、僕を逃したらもう相手は他にいないだろ…」
亮がこんな男だったとは思わなかった。
人間なにか起こった時に本音がでるのだ。
さらに追い打ちをかけて来たのは、後輩の夏美だった。
昨日の不敵な笑いがフラッシュバックする。
営業部のオフィスに座り、メールチェックをしている時、同じ部署の夏美からメールが来ていることに気が付いた。
嫌な予感はするが、メールを開いてみる。
『先輩、昨日は私達のSEXを見て濡れちゃいましたか?覗くなんて人が悪いですよ…亮と別れてください。私達はお互いに愛し合っているのです。亮も先輩の体は飽きたと言ってますよ』