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第1章 プロローグ　劣情

いつかは女を犯したい。
男がそんな願望に取りつかれたのは、小学生の頃だ。
早熟だった男が自慰を始めたのは10歳の頃だが、
その頃すでに漠然と女性をレイプすることを妄想していた。
そして中学生の頃には、他人の女、人妻を、
残虐に奪い取ることを夢見るようになっていた。

きっかけは、偶然観た古い映画だった。
ヤクザに拉致され、貨物船の一室に縛られ、
連れ去られる夫婦。
どうせ殺すのだからと、夫の前で慰み者にされる妻。
一般のサスペンス映画だっ.ので、
露骨なレイプシーンがある訳ではない。
ヌードという意味では、ブラウスを開かれ、
スリップとブラジャーを引き裂かれ、
乳房が一瞬晒されるのみ。
スカートをはぎ取られ、スリップ越しに
太ももと尻を撫でまわされるところでカットが変わり、
呆然とするスリップ姿の妻の姿を映すことで、
妻がレイプされてしまったことを隠喩するだけだった。
むしろ中学生だった男が激しく興奮したのは、
夫の前でヤクザに肉体をまさぐられ、
夫以外の男に股を開かざるを得ないことを悟り、
夫に向かって涙を流し、許しを請う妻の表情だった。

人妻の身体を貪り、貞操を奪う。
その背徳感にのめり込んだ男は、
同じような動画をかき集め、
自ら人妻を犯すことを妄想した。