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シュガーヒル
第1章 プロローグ
それと同時に、誠一も某大手外資系会社に転職したのだ。
それを機に私と誠一は同棲を始めた。
同棲を始めても、もうお互い某大手電機メーカーを退職していたので誰もそれを知らなかった。
私は同棲を始めた頃から家事に専念する為に専業主婦になった。
誠一と結婚したのは同棲してから1年後の事だ。
そして、丸4年の歳月が過ぎて行った。
私と誠一の間には子供ができなかった。
私は少し淋しさを感じていてはいたが、誠一との生活には満足していた。
だが、徐々にではあるが誠一の私に対する態度が変わって来たのだ。
専業主婦と言う名の職業は、ある意味とても空しさを感じるものだと私は思い始めていた。
主な専業主婦の仕事は掃除、洗濯、炊事、だと思う。
しかし、いくら毎日綺麗に掃除をして、毎日の様に洗濯をし、毎日夫の健康を考えて食事を作ったとしても、誠一からしたら、当たり前の事のように感じられてしまう。
そこには彼からの感謝の言葉のひとつもなかったのだ。
その当時、ある本でこんな事が書いてあるのを読んだことがある。
「人間の愛情とは3年すると消えるらしい…」
誠一との結婚はもうすでに3年を過ぎていた。
その本にはこう続きが書いてあった。
「その3年以内にお互いに“尊敬”と言う概念がないと結婚生活は続かないらしい…」
その当時、果たして私は誠一に対して尊敬と言う気持ちがあっただろうか。
正直、あったとは思えなかった。
そんな事を思っていた頃だった。
段々と、誠一は私の身体を求めてこなくなったのだ。