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シュガーヒル
第5章 シュガーヒル
そして、渋谷まで出て東京メトロに乗り、青山一丁目から都営大江戸線に乗り六本木で降りた。
金曜の夜の六本木はとても賑やかだった。
若い女性たちは各々、好きな洋服を駅のトイレで着替えたりしている。
黒のキャミにミニスカートに10センチ近くもあるヒールを履いたりしていた。
メイクにも念を入れているのが分かる。
普段ではしないメイクをみなしていたのだ。
その服装とメイクはちょっとしたハロウィンの様にも感じられた。
それに比べたら、私の服装やメイクなど実に地味なものだった。
そんな若い女性を横目で見ながら私は待ち合わせの本屋に入って行った。
かなり大きな本屋だったのを覚えている。
その本屋で暫く、雑誌を立ち読みしながら待っていた時だった。
後ろから肩を“ポンポン”と叩かれたのだ。
振り返るとヤマザキが満面の笑みを浮かべて立っていた。
「ごめん、遅くなって。待った?」
「いえ、私、雑誌読んでたから大丈夫だったわ…」
「じゃ、ご飯食べに行こうか?」
「どこに行くの?」
「イタ飯でいいかな?」
「別にいいわ…」
そんな会話をして私たちは“シシリー”と言う名のイタリアンレストランに行くことになった。
この、シシリーは今ではもう閉店してしまったかも知れない。
当時、このシシリーはとても人気が高く、金曜日の夜ともなると激込みでなかなか入れなかったのだ。
だが、この日は何故だか少しだけ待っただけで直ぐに店に入ることが出来た。