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12歳年下の彼と恋のキューピッドをする話
第5章 布引ハーブ園
あの時……彼女の言うあの時は
僕が…美海さんと付き合ってた時の事。
『分かってるんです…ッ…、
私と…森園サン…じゃ…比べ物になりませんし、
私じゃ、の代わりには成れないって…。
ダメ…です…ねぇ…、私……今日だけ…
巴姉サンの…妹さんに…魔法掛けて貰って
勇気…貰った…つもりでしたけど…やっぱり…』
そこまでの言葉はスムーズだったから
葵はその先の言葉を…詰まらせる。
何も…お互いに言わなくなってしまって
数秒の沈黙が…重く長く…数分にも感じる。
『違います…』
『…へ…っ、あ…、そ…うですよね?
わ、私なんかとじゃ…、森園さんの
半分にも…及びませんよね…?…』
『だから…、違うんです…』
『…………そこまで…言われなくても…ッ』
『そう言う…意味じゃ…ないです…。
僕が…言ってる…違うは、そうじゃないです。
僕は……、蛯名さんは蛯名さんだと思います。
美海さんと…蛯名さんを
比べてるとか、そんなんじゃないです…。
単に…僕が今まで…女性を見る目が…
全然…無くて…、失敗ばっかりして…
どうせ…蛯名さんも…そんな人と…
同じなんだろうって…決めつけてただけです…』
目の前にいる彼女の…大きな瞳が
潤んでる…のは…零れそうになった涙が
零れてしまわない様に…堪えているからで。
『だから……変わらないと…ダメなのは…
今のままで居ちゃ…ダメなのは…、
僕の…方…なんです……、知ってて
気が付いてて…逃げてて…逃げてばっかりで
楽な方楽な方…選んでた…んで…。
だから…変わりたく、て…変えたくて…』
自分が…そんな自分の変えたくての
せめて…見た目だけでもって…
見た目が…変われば…今の場所から1歩
この…距離を…変えられる気がして…。
『こっ…小林…サン……私っ……
ちゃんと…知ってます…し、分かってます…』
彼女に…蛯名さんに…先に言わせてしまっては
ダメだと思ってしまって、グイと
彼女の口を自分の手で塞いでしまった。
『んんんぐっ…!!ん~ッ!!』
こっちが口を塞いだ手を…彼女が
グイグイと自分の口から引き剥がそうとするから
ついつい…この手を離したらダメだって
ギュウウウと押し付けてしまっていた。