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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
 公子の心からの言葉に、安子の眼に涙が光った。安子はしばらく何かに耐えるような表情をしていたが、次の刹那、公子の身体はふわりと安子の腕の中に引き寄せられていた。
 突然のなりゆきに、公子は付いてゆけない。
 ただ愕いて身を固くするだけだ。
 公子を抱きしめ、安子は低い嗚咽を洩らした。
「叔母上さま―」
 やっとの想いで口にすると、安子が涙を拭いながら微笑む。
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