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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
 先刻、対面したばかりのときも感じたように、十年ぶりに見る叔母は変わらず臈長けて美しい。
「相変わらず、嬉しいことを申してくれますね」
 安子が笑うと、公子は真顔で首を振った。
「いいえ、心にもないことは申しておりませぬ。私が子どもの頃からお世辞や嘘は苦手だということは、叔母上さまがいちばんよくご存じのはずですわ」
 そう言うと、安子は嬉しげに笑って頷く。
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