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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
「いいえ、叔母上さま。他ならぬこの我が身も若宮さま、姫宮さま、並びに桐壺の御方のご訃報をお聞きした折には到底、現のこととは思えませんでした。何か悪い夢でも見ているのではないかと思えてなりませんでした。それが夢ではなく、現のことだと知った時、私もまた叔母上さまと全く同じことを考えたのです。この世に御仏がおわすものならば、何故、何の罪もなき方々を黄泉路へと連れてゆかれるのであろうかと疑問に思いました」