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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
「桐壺更衣にしろ若宮、姫宮にしろ、可哀想なことをしました。されど、あなたの言うとおりですね、公子どの。残された者がいつまでも哀しんでばかりいては、亡き人は安らかな眠りにはつけぬ。確かにそうなのかもしれません。今日これよりは、少しずつ、哀しみも忘れてゆくように努力することに致しましょう。たとえ難しくとも、もう涙は流さず、代わりに亡き人たちの安らかな眠りを一心に御仏にお願いし、祈ることに致しましょうね」
 安子の力強い言葉に、公子は深く頷いた。
「はい」
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