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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
 かと言って、けして女性的な容貌というわけではない。男性的な雄々しさや凛々しさと、艶やかな色香溢れる美貌がほどよく調和しているといった感じだ。しなやかな体軀は直衣の上からでもその逞しさを感じさせ、帝が学問よりはむしろ武芸の鍛錬に力を入れているという噂はあながち偽りではないのだということを何より物語っている。
「お久しぶりですね、姫」
 これは母君ではなく、公子に向けた科白であることが判る。
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