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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
 間近で見ると、確かに幼き日の面影が眼許辺りに残っている。声はやはり記憶にある幼い頃の少年のものではない。聞く者を魅了するような深い声になっていた。
 この青年が夜毎、内裏の若い女房を閨に引き込み、大切な儀式の最中に控えていた女官を手込めにしたという悪評高い帝と同一人物なのか?
 どう見ても、そんな無体なふるまいをするようにも見えず、良識と分別を兼ね備えた大人の男に見えるが―。
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