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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
 道遠と安子の父、前(さきの)関白道連(みちつら)もその野望を果たすため、娘安子を入内させたのだ。そして、安子は見事、父の期待を叶えて皇子を生み奉った。それが今の帝道明(みちあきら)親王であり、二十数歳で崩御した先帝の後を受け、道明親王はわずか三歳で即位、道連は摂政として権勢を欲しいままにした。道連がその三年後に病死した後は嫡子の道遠が藤原宗家の当主となり、父の跡を継いだ。道遠は父から摂政の職を譲り受け、即位した幼帝が成人するまで廟堂に君臨してきたのだ。
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