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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
何をしに来たのだと問われても、咄嗟には応えられない。ただ、叔母である安子の御心を少しでも慰めたくて参内したのだ。
「今日こちらにお伺い致しましたのは叔母上さま―、いえ、大宮さまのお見舞いに参上したゆえにございます」
「ホウ、それは一体、誰の差し金だ?」
公子は一瞬、言葉に詰まった。
今日、ここに来たのは父道遠に頼まれたからだ。だが、父とはとかくの噂のある帝にはそのことを告げない方が良いと咄嗟に判断する。