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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第1章 《序章》
その噂のお陰で、少女の父は随分と形見の狭い想いをしていることを知らぬ少女ではない。少年の悪態もその心ない噂を受けてのものだと判ってはいるけれど、こうも面と向かって悪し様に言われては、たまったものではない。少女の心は玻璃細工のように粉々になり、傷ついていた。
少女の瞳の底には、憎しみの焔が燃え上がっていた。
顔を見れば、敵意むき出しで自分を言葉で嬲り尽くそうとするこの年下の従弟が今はただひたすら厭わしくてならない。
少女の瞳の底には、憎しみの焔が燃え上がっていた。
顔を見れば、敵意むき出しで自分を言葉で嬲り尽くそうとするこの年下の従弟が今はただひたすら厭わしくてならない。