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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
 少し躊躇った後、小さな声で応えた。
「それは祐子さまがお綺麗だし、お優しいから―」
 が、皆まで言うことはできなかった。
 帝の唇が笑みの形を象る。
 また、あの冷たい眼、氷のような微笑。
 思わず、身体が小刻みに震えた。
 聞いてはならない。この先に続く言葉をけして聞いてはならないと、もう一人の自分がしきりに囁いているような気がした。
「それは、祐子がそなたに似ていたからだ」
「―嘘」
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