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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
「姫、姫?」
 帝の慌てた声が聞こえる。
 下腹部から太股を生温いものがつうっとつたい降りてゆくのが判った。
―なに、これは一体、何なの。
 いっそう惑乱しながら、公子はその場にくずおれた。それは、まるで心ない雨に打たれた花びらがはらはらと散ってゆくのにも似ていた。
「姫、どうしたんだ」
 帝が駆け寄ってきた。大きな手のひらが肩に乗る。
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