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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第4章 参の巻
正直、今になって一人前の女人になったのだと言われても、実感は湧かなかったし、ましてや歓びもなかった。ただ、ひたすら疎ましい、血にまみれた自分の身体が穢らわしいものに思えてならない。
安子は優しく言い聞かせたのだが、公子は大好きな叔母の言葉にさえ耳を傾けようとはしなかった。
―どうして、こんなときに。
自分の屋敷にいるときならともかく、内裏にいるときに、どうしてこんなことにならなければならないのか。