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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第2章 壱の巻
―だって、おかしいもの。
公子は思わずにはいられない。
人間は毛虫を見れば、毛嫌いするけれど、毛虫は大きくなれば、蛹を経て蝶になる。美しい蝶を見て、厭な顔をする者はいない。なのに、どうして蝶の幼虫である毛虫を見れば、汚いものでも見たような顔をするのか。蝶は綺麗で、毛虫は汚いものだ。そんな風に解釈するのは所詮、人間の身勝手な理屈だ。人間は自分たちの主観だけで物事を判断する。
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