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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第5章 四の巻
ずっと乳房を吸われ続けているのも気持ち悪い。公子は泣きながら、虚ろな視線を周囲に彷徨わせた。ふと枕許に青磁の香炉が置いてあるのが視界に入った。涙で朧に滲んだ視界の中で、青磁の香炉がどれほど離れた場所にあるのかを懸命に推し量ろうとする。
思い切って手を伸ばしてみると、指先が香炉の脚に辛うじて触れた。公子は夢中で更に手を伸ばし、香炉を掴む。今度は、はっきりと香炉の脚に触れることができた。
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