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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第2章 壱の巻
 この小さな毛虫だって、公子と同じで、ちゃんと生きている。このままつつがなく成長すれば、時が来れば、さぞや美しい蝶になるに相違ないのだから。その大切な生命をむざと消すのは、あまりにも残酷だ。人と虫の生命を同じ次元で捉えているわけではないけれど、虫の生命も人の生命も生命そのものの大切さに変わりはないだろう。
「ちゃんと大きくなって、今度逢うときは、綺麗な蝶になった姿を見せてよ?」
 公子は優しく語り聞かせるような口調で小さな虫に言った。
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