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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第2章 壱の巻
ほどなく、蒼白になった侍女がまろぶようにやって来た。公子付きの女房相模である。相模は父の官職にちなんで、こう呼ばれている。相模の父は以前、相模守を務めたことがあったからだ。
「まあ、姫さまってば、また、このようなところに一人でお出ましになって。あれほど私が人眼に立たないようになさって下さいませと申し上げましたのに」
相模は恨めしげな表情で女主人を見つめた。大柄な相模から見れば、小柄な公子は見下ろす形になってしまうのだけれど。
「まあ、姫さまってば、また、このようなところに一人でお出ましになって。あれほど私が人眼に立たないようになさって下さいませと申し上げましたのに」
相模は恨めしげな表情で女主人を見つめた。大柄な相模から見れば、小柄な公子は見下ろす形になってしまうのだけれど。